Fetters




朝倉海人







 「私って、何なの?」

 「え?」

 「だって、高志っていつも何も私に言ってくれないんだもん」

 「うーん」

 「何かあったらさ、言ってよ。どうしたらいいの?」

 「どうしたらって…、傍にいてくれるだけでいいよ」

 「それだけ?」

 「うん」

 「何も言ってくれないんだね」

 「いや、そういうことじゃなくてさ」

 「同じだよ…」

 「私は…私は高志の全てをわかってあげたいの」

 「全て?」

 「うん」

 「由美が俺の全てを知って何ができるの?」

 「え?」

 「俺の苦しみや悩みを話して、由美に何が出来るの?」

 「何がって、そういうことじゃないよ…」

 「俺は、由美のことが言葉で表せられないほど、好きだよ」

 「でも、そういうことは独りで。…ううん。自分だけで考えたいんだ」

 「……それじゃ、私たち…」