サイト 『 君と僕 』
作品 風花の舞う街


 奇妙な物語だ。
 着実なストーリーがある。幻想的な風景があり世界の設定があり、キャラクターが行動している。でも最後になって何なのかわからなくなる……一読してほしい。
 読んでいただければこの感覚は理解してもらえるだろう。

「主人公の世界に対するおびえ」のようなものを表現したかった、ともとれなくもない。だけどそれにしては圧倒的に空虚にすぎる。そのような意志はないとしか思えない。
 作者自身の視点は物語の破壊――というより、時間の経過の静止と言うような、世界を留めておくことにあるのか、とさえ思う。
 なにがしたいのかわからない物語。「文学」でさえ拾いきれない深淵なのか。
 ――言葉は無造作に思えるがそのばらけ具合が心地よく、ページをめくることに退屈はない。洗練の度合いはかなり高い。そして物語は多くの場合破綻してる。サイトをくまなく読んでも、作者像さえうまくつかめなかった。どんな生活をしている?歳は?本当に女性なのか?
  ――少なくとも単純な読み物じゃない。

(神田良輔)