サイト 『クマのプーさん Mugcup Collection』
作品 テキストサイトとその構造


 小説ではなく、エッセイ、評論だ。

 ここで上げられる「テキストサイト」というのは『個人的な視点から書かれたテキストを他の人に読んでもらうため、ウェブ上に置かれたサイト』というくらいの意味だ。
 それらは一群をなした。ハイパーリンクや掲示板cgiなどから横につながりが生まれ、日記才人、ReadMe!Japanなどのリンク、ランキングサイトや2ちゃんねるなどが客観的な視点を提供することで、限定的ではありながらも紛れもない社会現象を起こした。
 「同時代人を参考、批判しながら、生きることを模索する」という点では、かつて青年達に巨大な威圧感とともに存在した文壇、に近いところがあるだろう。巨大なサロンでありながら統制がなく、外にいるとまったくわけがわからないところもそっくりだ。

 このサイトの作者はそのような動きを目前に見て、「構造主義の文脈の中で捉えなおす」ことを始めた。現代哲学の単語を駆使して書かれており、パロディ(たぶん)、引用など、慣れないと読みづらいところがあるが、「あらゆる力を使ってこの現象に決着をつける」という感覚は、同時代的に見て興奮する。その知識や文章力など、ぱっと見ても、もの凄い。驚嘆できる。現代風俗を扱った、偉大な知性だと個人的に思う。


 テキストサイトの世界はかつての文壇と比べればその社会的地位は低い。経済効果もないし知名度も低い、要はただのぼんくらどもにすぎない。でも要はそういうものが、現在的なもの、新しい形のものなのかもしれないとも思う。


(神田良輔)