届かない耳、発さない口




藤崎あいる
















これは、いしょです。
いちばんだいじなもの
をはなしました。

しぬりゆうはそれだけ。

てにはなにももたずに
これまでのかこはにっきとわたしとだれかのきおくに。
いのちはかんたんに
においすらはなたずにどこかへいく。

ちったわたしはもやされるんでしょうね。
つちのなかにうまったときのこうふくかんを
たしかにわたしはかんじることができるのでしょうね。

わたしはいきなければならないと
ただつねにそれだけをおもっていました。
しかしそのりゆうもなくなりました。
おかげでらくになれるんです。

こいびとはわたしのことをわすれません。
ろかされてうつくしくなったわたしを
すんだそらにみることでしょう。

ののはなのかおりにつつまれるやさしいひとは
はかないからだでわらっているでしょうか。

わたしがあいしたのは
たしかに
しんや



いちどでいいからあいのあるセックスがしたかった。
しんや、あたしあなたとしたかった。




元気で。
蜂谷さん、ありがとう。
モリチカ、ありがとう。
秀行くん、ありがとう。
サラさん、ありがとう。

   愛してた。