第112回国会 予算委員会 第7号 昭和六十三年二月六日(土曜日)    前略 しばらく質疑あり ○正森委員 それではもう一点伺いたいと思います。  同じように本会議質問で私どもは、物事は公平でなければならぬ、政府・与党といいますか、内閣はこれまで国内的なテロについて泳がせ政策をとったのではないか、例えば一九六〇年代の安保闘争等々のときに泳がせ政策をとった、これを継承するのか、きっぱりやめるのかという村上衆議院議員の質問に対して、泳がせ政策をとったことは絶対にないということをたしか総理は答弁になったと思います。  そこで伺いたいと思いますが、これは全く事実に反するのではないですか。当時いっぱい暴動がありますが、そのうちの二、三を挙げてみたいと思います。  例えば中曽根前総理は、当時代議士でありましたが、「佐藤内閣をささえているのは、反代々木系学生の暴走だという見方もある。彼らの暴走が、反射的に市民層を反対にまわし、自民党の支持につながる作用を果している。」こういうことを六九年五月三日付朝日新聞で言っておられます。あるいはまた、保利茂代議士は一九六七年十一月十二日、「三派全学連は泳がせておいた方がよい。そうしないと全学連は日共系一本にまとまる。その方が危険だ」、こう言っておられます。あるいは、政府の要職、官房長官であった木村俊夫氏は一九六七年十月八日の羽田事件の直後に、「羽田事件の対策には強硬な処置をとらないことにした。日共対策上そうした方がいいからだ。破防法を適用できるのは、むしろ日共だ。」こういうことを言っておられます。こういう数々の事実を見ても、政府・与党の中でこういう三派全学連などテロ行為を行う者は泳がせておいた方がいいんだというように考え、また実際にそうしたということは否定できないことではないのですか、総理。 ○竹下内閣総理大臣 私が村上さんにお答えしまして、泳がせ政策などをとったことはない、このように申し上げた、そのとおりでございます。 ○正森委員 それだけですか。それじゃ総理はそれだけしか御答弁がないようですから、失礼でございますが、浜田委員長の御発言を引用したいと思います。  浜田幸一代議士は、一九八四年九月二十日、九月十九日には自民党を襲撃して放火するという事件がございました、その翌日の日本テレビワイドショーに出演をされました。その中でこう言っておられます。この責任、つまり自民党本部放火事件、この責任はだれにあるかというと、泳がしていた我々にあると思いますよ、中核派を泳がしていた、やはり法律違反で破壊する者を泳がせた、そういう一つの政策の誤りがあるんじゃないですか。これはワイドショーで天下に放映されたことですから、これはもう皆さんが知っております。私は浜田幸一衆議院議員、現予算委員長とは党派が違いますので、意見が多くの点で異なるのは当然でありますが、不思議なことにこの点では意見が一致します。そのことを申し上げたいと思います。 ○浜田委員長 この場所で答えてよろしいですか。委員長の答弁席からお答えしてよろしいですか。 ○正森委員 委員長がそうおっしゃっていることを申し上げたわけです。 ○浜田委員長 お答えいたします。  我が党は旧来より、終戦直後より、殺人者である宮本顕治君を国政の中に参加せしめるような状況をつくり出したときから、日本共産党に対しては最大の懸念を持ち、最大の闘争理念を持ってまいりました。でありますから……(発言する者あり)答え中です。ですから、私は、自由民主党としてはあらゆる行為をとってきたと申し上げただけであります。  以上であります。  何か質問があれば答えます。 ○正森委員 今私が聞いていることに答えないで、公党の最高幹部である我が党の宮本議長に対するそういう発言は断じて許せない。 ○浜田委員長 それでは、なぜ…… ○正森委員 いや、私は今あなたに答弁を求めていませんよ。 ○浜田委員長 それではなぜ牢獄の中にいたのですか。その理由は何ですか。それは何ですか。それは我々の最大の闘争です。承りましょう。一歩も引くわけにはいきません。 ○正森委員 今私はあなたに対して答弁してくださいと言っておりませんよ。 ○浜田委員長 取り消すわけにはまいりません。 ○正森委員 法務大臣、宮本議長が獄中にいたのは治安維持法違反という事件のためであります。 そのことにつきまして種々問題がございましたが、資格争訟その他の問題がございましたが、こういう問題について、資格争訟には問題がない、そして投獄されていた一番大きな原因は、現在なら当然憲法違反の治安維持法違反によるものであるというようなことは、当時の刑事局長も答弁されたことであると思います。  私は、このことを指摘して、泳がせ政策をとってきたということを自民党の多くの衆議院議員が認めておる、浜田委員長もその一人であったということを指摘して…… ○浜田委員長 答えていいのですか。 ○正森委員 私の次の質問に移りたいと思います。 ○浜田委員長 ちょっと待ちなさい。 ○正森委員 委員長、こちらの発言中じゃないですか。 ○浜田委員長 じゃ、いつやめるのですか。 ○正森委員 何が。今やめるのですよ、これで。次の問題に移るのですよ。 ○浜田委員長 やめた場合には、一方的に言っていいんですか、それは。あなたは私に質問しておきながら、答えさせないままで終わるのですか。 ○正森委員 答えたじゃないですか、あなたは。 ○浜田委員長 私は再度申し上げます。  私、自由民主党の党員であると同時に政治家ですが、うそを言ったことはありません。私が言ったことで責任をとるべきことがあれば、いかなる責任でも、あなたに責任追及される前にみずからで決断して処理をします。 ○正森委員 それでは今の御発言の中で、私はいかなるときでもうそを言ったことがないと言われましたから、ワイドショーの発言もうそではないということを…… ○浜田委員長 そのとおりです。 ○正森委員 そうですね。それが聞きたかったのです。 ○浜田委員長 私はそのとおりに思っております。 ○正森委員 それで結構です。    中略 間にしばらく質疑あり  現在の連邦準備理事会議長に任命されたアラン・グリーンスパン氏がこう言っております。この「三カ月間、日本、西ヨーロッパ、カナダの中央銀行はアメリカの貿易赤字をファイナンスするのに必要なすべての金を提供してきた。ドルを買い支える努力の一環として、これら中央銀行はドル債や他のドル投資に三百億ドルも投じてきた。」三カ月間です。「これは大まかにいってこの間のアメリカの貿易赤字に匹敵する額である。この数字は、いまや、民間投資家ではなく外国政府がアメリカ経済に必要な資金を貸しつけていることをしめしている。こんな状況がながつづきするはずはない。宴はおひらきになろうとしている。」これはグリーンスパン氏が言っているのですよ。  もっと言いましょうか。 ○浜田委員長 正森君ちょっとお待ちください。 ○正森委員 いいです。三菱銀行が言っています。 ○浜田委員長 あのね、あなたの質問が終わる前に、ちょっとおかけください、恐縮ですが。 ○正森委員 私は質問中です。これの切りのいいところで伺います。切りのいいところで伺います。 ○浜田委員長 いいんですか、そうでないと後悔しますよ。それはどういうことかというと、昭和八年十二月二十四日、官本顕治ほか数名により、当時の財政部長小畑達夫を股間に…… ○正森委員 委員長、そんなこと言ってないじゃないか。何言うてんです。 ○浜田委員長 針金で絞め、リンチで殺した。このことだけは的確に申し上げておきますからね。いいですね。 ○正森委員 何を言っておるんだ。そんなこと、聞いておらないことを何を言っているんだ。(発言する者あり) ○浜田委員長 いいですか。それを言わぬとあなた方は……そのことだけは言っておかなければ、あなた方はそのことでごまかそうとしておる。 ○正森委員 委員長は、私が質問しているのに対して関係ないことを何言うんだ。(発言する者あり) ○浜田委員長 異議があるなら言ってきなさい。それだけを明確にしておかなければなりません。 ○正森委員 先ほど委員長の発言で…… ○浜田委員長 質問を許します。 ○正森委員 先ほど委員長の発言で、我が党の宮本議長に対し著しく事実に反する不当な発言がありました。宮本議長の事件は、侵略戦争反対を貫く日本共産党指導者であること自体を重罪とする治安維持法等違反に問われたものであります。 ○浜田委員長 それはうそだ、刑事犯だ。 ○正森委員 その戦前の判決でさえ殺人とは認定していないものであります。しかも、その治安維持法自体、戦後の民主化の中で廃止され、宮本議長は勅令七百三十号で刑の言い渡しを受けざりしものとみなすとされ、判決自体がなかったものとされているのであります。ここに私は判決を持ってきております。勅令適用の文書もここにあります。このことは国会でもたびたび確認されていることであります。(発言する者あり) ○浜田委員長 懲罰動議にかけなさい。受けて立ちます。 ○正森委員 法務省、この点等再度確認していただきたい。 ○岡村政府委員 私といたしましては、ただいま手持ちの資料もございませんので、どういう事実関係になっているかにつきまして直ちにはお答えいたしかねるところでございます。ただ、安原刑事局長が答えておられるのであればそれはそのとおりであろうかとも思いますが、今申し上げましたように、私としては、今の時点ではお答えをいたすだけの資料も持ち合わせておりません。 ○正森委員 刑事局長ともあろう者が、自分は知らないなんということは言語道断だと思います。しかし、安原刑事局長がそういう答弁をしておることは承知しておりますという格好でお認めになったことは間違いのないところであると思います。  政府の答弁でも明らかなように、先ほどの委員長発言はこうした事実を全く無視したものであります。委員長の不穏当な発言について、取り消し削除の措置をとられることを求めたいと思います。 ○浜田委員長 答えます。  私は、真実は真実として申し上げているのでありまして、取り消す考えはありません。 ○正森委員 私は委員長の発言は不当だと思いますが、私の大事な経済の発言の途中に突如として関係のないことを発言された委員長の態度は、これは全国民が見ておりますが、決して正当だと思われないであろうと思います。 ○浜田委員長 正森君に申し上げます。 ○正森委員 私は自分の質問を続けたいと思います。私は自分の質問を続ける権利があります。 ○浜田委員長 正森君、一方的な発言はしないでください。 ○正森委員 大蔵大臣、続けますが、三菱銀行もこう言っているのですよ。三菱銀行はこう言っています。「目下の米国にとって……」(発言する者あり) ○浜田委員長 横暴と真実を言っていることとは違います。 ○正森委員 そんなばかなことがあるか。 ○浜田委員長 私が言っているのは、ミヤザワケンジ君が人を殺したと言っただけじゃないですか。それは何が悪いんですか。これは真実を言っているだけにすぎない。しかし、あなた方は、正当性を主張しようとしながら真実を隠そうとしていることはいかぬ、それは。 ○正森委員 委員長がそんなことを言っていいのか。委員長がそんなこと言っていいのか。委員長は公平でなければならぬじゃないか。そんなばかなことがあるか。何ですか委員長は。 ○浜田委員長 いかに共産党といえども許さぬ、それは。 ○正森委員 委員長はそんな権限があるのか。 ○浜田委員長 なに。 ○正森委員 委員長はそんな権限があるのか。 ○浜田委員長 よし、それならきちんと歴史を調べなさい。 ○正森委員 そんなばかなことがあるか。 ○浜田委員長 あなた方は、委員長が黙っていればいいことに事を欠いて、共産党は何だ。 ○正森委員 何にも今聞いてないじゃないか。経済の論議をやっているのじゃないか。円ドル問題をやっているのじゃないか。だれがそんなことを聞いた。そんな委員長があるか。そんな委員長があるか。 ○浜田委員長 それでは、社公民も続行を主張しておりますので、質問を許します。正森君。(発言する者あり)とんでもなかったら議会法に基づいて可罰性を問いなさい。こんなところで大きな声を出さなくても、そのために議会法が存在するのだから議会法にかけなさい。あえて受けて立ちます。  審議を続行します。正森君。続行しなさい、質疑を。 ○正森委員 極めて遺憾ですが、私が冷静に円ドル問題を聞いていたときにいろいろ違う意見が入りましたので、中断されました。大蔵大臣、大蔵大臣…… ○浜田委員長 しかし、あなたの政党は何ですか。その間に刑事局長を表に出して何をやっていたんですか。(発言する者あり)何を言っているんだ。 ○正森委員 こちらが平穏にやろうとしているのに、委員長、委員長らしい態度をおとりください。 ○浜田委員長 そんなら、質問者も的確に質問しなさい。 ○正森委員 やっているじゃないですか、的確に。    後略 質疑続行 http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/112/0380/11202060380007c.html