しろく細い指が 連なって傾れるように そのかたちを変える 目をほそめ 指のさきに描かれる 糸の軌跡を視る おまえの 指のさきから 紡ぎでるように 甘く苦い煙りがでて その匂いを思う 夜の時間 おまえの手が 夜ふけの舗道に 振り子のように揺れ 霧のかかった街の灯に おまえの黒い影が 立ち止まる この手は憶えている つめたい指さきを 雨にぬれ怯えた おまえの白い手が 握りつぶし 雨のなか捨てた もう二度と 拾われぬものを 雨の暗いみちを 街の灯を標にあるき この手を灯火に 透かすように視るとき おまえの小さな しろい指がおどる 手話の物語が 暗い舞台にひとり また始まる |