後記
 
 


 わたくしごとで恐縮ですが。

 ていうか、仕事ってしてます?仕事してる?
 いや、僕は最近始めたのですよ。これはまあ、これで、新しく覚えなければならないこともあるし、ちゃんと競争するところもある。あ、実際今の職場はあんま競争なかったでした。でもまあ、それなりにありますよね。でまあ、それをメインに考えていけば、まあ、仕事というものもなかなか悪くないものではあるな、と思ったりもします。
 人生、なにが大事かって、なにかを獲得していくことですよ。マジで。それをはっきりした形で現してくれることって、あんまないです。そう考えると、仕事っていうのも悪くないな、って思いますね。

 でも、なんていうか、仕事って、ものすごく局地的ではないですか?
 なにを置いても、現代的に「仕事」と呼ばれるものの本質は労働です。産業革命以降――たぶんね、たぶん――原理的にオリジナリティってものはなくなっちゃったと思いますね。アインシュタインがいなくても、誰かが原子爆弾には気づいた、というか。そんな感じの話でね。真に独創的な仕事がしたければ――多分、政治家になるしかないんじゃないかなあ。それか、革命家ね。まあ、それこそ、独走は出来ないという職種ではありますよね……

 まあその段階で労働は受け入れましょう。労働オッケー。無駄に時間拘束されてもノープロブレム。「**屋」の看板背負って一生生きていくのを承知です。
 でも、ええ、なんていうか、局地的とでも言えばいいのか。
 こう、今まで――仕事前の準備期間で――得てきたことに比べて、仕事はあまりにも彩りが少ないと思いませんか?
 いや、まあ仕事についてぐちぐち言うなら、宇宙飛行士にでもなれと朝の連ドラでもいってますがね。うん、確かに宇宙飛行士なら楽しそうだなあ。シンプルだし、門も充分狭い。
 いや、そういうことではなくて、だからつまり、もっと、こう、個人全体を評価してもらいたいわけですよ。こういうこというとアーティスト幻想とかってなるのかな?でもまあ、言ってみりゃそういう事だと思うんですよね。人生一義的な勝った負けたじゃないですよ。はっきりリターンが返ってこないものだってある、返ってこなくて忘れそうになっても、忘れちゃいけないと何かが言ってるようなことが。

 だから、まあ文芸復興を呼びかけたいわけで。いや、文芸とか言って高尚ぽくしたいわけじゃないっすよ。言いたいのは、今の世間一般に膾炙されてる仕事ていうのは人間個人よりも大きいものではない、って言いたいわけで。まあ、高度経済成長期でもないんだから言う必要もないでしょうけど。ていうかむしろ仕事しろって言うべきなのかもしれないですけど。

 つまり何言えばよくわからないけど、まあ楽しく過ごしましょう、というかそんな感じで。
 ヒマだったら、読んでメールでもくださいね。



東京文芸センター Vol.29


執筆 :神田 良輔
佐藤 由香里
永瀬 真史
藤崎 あいる
美咲
後記 :神田 良輔
タイトルページデザイン
岩井市 英知
監修 :東京文芸センター