今年の夏はいつもの夏らしくなかった。そのように考える人もいるんじゃないだろうか。今年は例年よりも気温が低く、比較的に過ごしやすい日が多かった。暑いのが好きで海とか山に遊びに行きたいと思っていた人には物足りない夏だったかもしれない。
僕は今年受験ということもあって、様々なイベントに参加した。高校で行なわれた夏期講習会や大学の説明会、専門学校の説明会にも行ったし模試も受けた。毎年、学生にとって夏というのはあっという間に過ぎてしまう季節であるけど、今年はいつも以上に短く感じた。そんな短く感じる今年の夏は充実していたとも言えるし、考える暇も無く過ぎ去ってしまったとも言える。僕にとって夏というのは毎年そんなものなのだ。そういう点では僕には“いつもと変わらない夏”だったかもしれない。
東京文芸センターの著者もそれぞれの夏を過ごしている。そんな色々な夏の中で生まれた作品が今号の作品である。
―いつもとは少し変わった夏の中でそれぞれの作品の著者は何を考え作品で何を伝えようとしたのだろうか―
そんなことを考えながらじっくり読んでみるのも良いのかもしれない。