後記
 
 

 私がここで小説を書くようになったきっかけのお話でも。

 二年半前、パーソナルコンピューターというものを手に入れて、初めてインターネットの世界に足を踏み入れた私は驚いた。個人個人が自分の世界観を持って、思い思いの視点で何かを表現している。その中に『東京文芸センター』があった。私は感動して、公開されている小説を貪るように読んだ。ただ憧れはしたけれど、小説を書くということは、当時の私にとってはまだ遥か遠い世界のことだった。

 自分のサイトを立ち上げて細々と日々の日記を書いていた私に、ある誘いが舞い込んできた。
『東京文芸センターの一周年企画に参加してみませんか?』
 私は動揺した。私が自分のサイトで日々垂れ流していたのはありふれた日常で、小説なんて書いたことなどなかった。それでも読者としてここを訪れて様々な世界を楽しんでいた私にとってその誘いはとても興味深く、迷いはしたものの答えは決まっていた。
 そうやって私の処女作は、記念すべき一周年企画に掲載された。寄せられる感想。参考になる意見。違う世界を見た気がした。もしかしたら私にはまだいろんな可能性があるんじゃないかと思った。

 掲載後、一介の読者に戻った私は、あの喜びをずっと忘れられないでいた。いつも書いている日常ではなく創作も書きたい。けれど自分一人で書こうと思っても、自分に甘い私は恐ろしく遅筆で、何の刺激もない中では書けなかった。お互いを高め合える仲間がほしいと思った私は、思い切ってここのメールフォームから参加表明した。皆、私を快く受け入れてくれて、私は晴れて東京文芸センターのメンバーになった。

 手の届かない遠い世界のことと思っていたこの場所で、私は今活動している。書きたいという意志とがあれば受け入れてくれる場所だということを、今更ながらに感じている。まだまだ反省点や課題点は山ほどあるけれど、仲間と刺激し合いながら自分自身成長できればと思っている。

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 佐藤由香里です。もうすっかり外は寒いですね。

 先月は三周年企画ということで、いつもとは違ったTBCを見ていただけたのではないかと思います。尚、ご参加くださった著者の皆様、本当にありがとうございました。
 TBCでは引き続き、ここで活動したいという有志をお待ちしております。ご質問がありましたらメールフォームからお問い合わせください。



東京文芸センター Vol.38


執筆 :朝倉 海人
神田 良輔
佐藤 由香里
sennju
藤崎 あいる
後記 :佐藤 由香里
構成 :岩井市 英知
表紙 :佐藤 由香里
監修 :東京文芸センター