僕の個人的な話でも少し。
僕が小説を書き始めたのは中学三年生から高校一年生のことでした。今から四、五年前でしょうか。僕は当時、いわゆる時代小説に憧れまして、歴史に登場する人物の話を書くことに熱中していました。恐らく日本史が好きだという他愛もないきっかけでしたが、資料を読みあさるのも色々な話を考えるのも楽しい時代でした。
一度だけ僕は自分の書いたショートショートの時代小説を日本史を扱った月刊誌に送り、今になってもどうしてかわかりませんが掲載されたことがありました。僕はその掲載されたことの喜びでその日一日何も手につかなかったのを今でも覚えています。
恐らくその喜びが忘れられずに、僕は今でもこうして小説を書いているのでしょう。そしてその喜びをもう一度味わいたいのかもしれません。しかし、それは『褒められる』ことに味をしめたということではないのです。厳しい意見であったとしても、そこには執筆者が認められたという事実が確かに存在するはずだからです。
というわけで、皆様初めまして、朝倉海人です。
今回、東京文芸センターは創刊から数えて40号を迎えました。これも歴代の執筆陣の方々の努力と読み手である皆様の暖かくも厳しいご意見のおかげだと思っております。
この場所で僕に何が出来るのだろうか? いや、そもそもこの場所とは何なのだろうか? という絶えることない内面の疑問、悩みを東京文芸センターという場所で僕は持ちつづけるでしょう。そしてあの高校生の頃に僕が覚えたあの喜びをこれからも忘れることなく書きつづけていきたいと思います。
『書く』という喜び。『読む』という幸せ。