物語はいつも悲しい。
それは終わりがあるからだ。物語はいつか終わりがやってくる。そして、始まりは終わりのためにあって始まりのためにあるわけではない。始まったものはいつか終わりがやってくるのだ。サッカーは開始されれば90分後には終わってしまい、一日なんて24時間で終わってしまう。人生も始まれば何十年後かに終わりがやってくる。
物語は終わるために始まるのだ。今日も明日もどこかで終わりがやってくる。
じゃあ、終わらないようにすればいいんじゃないか? と、浅はかな人間はいつも考えるのだが、終わりのないエンドロールなんてまっぴらな僕らは、一方で終わることにホッとしていたりもする。終わりがあるから落ち着いていられるわけだ。
「あぁ、今日もちゃんと終わったね」と。
始まりのない物語なら、終わりもないのだけれどね。