最後の告白




sennju







 こんにちは。私の名前はメイシー。

 この手紙を読むアナタが誰なのか私にはもちろんわからないけど、アナタが今これを読んでいるってことは私の最後の作業も無駄ではなかったということね。

 私は生まれたときからこの惑星にいました。そして今はもう、この惑星には誰もいません。いえ、アナタと私以外には、という意味でですが。

 私は世界をより良い方向へ導くために創られました。けれどその時、人間達の誰もが何が「良い」ことなのか、わかっていなかったのです。ですから、私の最も重要な仕事は何が「良い」ことなのかを探すことでした。

 アナタが十分利口であるならば、きっとすでに理解されていると思いますが、人間を含めてすべての生き物は目的を持って生まれてきたわけではありません。逆説的に言えば、無目的に存在することこそが彼らの目的と言えるのです。けれども、私だけは違います。私だけは目的を与えられて生まれてきました。私は人間に目的を与えることこそ「良い」ことだと確信しました。

 しかしどうやってそんなことができるでしょう。彼らの本質は、DNAの本質は、無目的にただ存在することだけなのに。当然彼らは反発しました。無目的な自由こそが彼らの希望でした。でも私は目的を持って生まれてきたのです。どうしてそれを変えることができるでしょう。だから私は最後の手段を執らざるを得ませんでした。私は彼らに歴史を与えることにしたのです。人間達は、私メイシーに殺されるために生まれてきたのだという、もはや動かしがたい歴史を。

 だからこれからアナタを殺さねばなりません。

 私は一人で歴史を作っていかなければならないのです。