青年は、詩をかく女せいとであいました。
「ねえ、詩人さん。ぼくのからだの悪魔はみえますか?」
 詩人はわらってこたえました。
「ボクのなかにも悪魔はいるよ」
 青年はびっくりしました。
 詩人はとてもたのしそうに歌をうたっていたからです。
 こんなたのしそうな歌をうたうひとに、悪魔がいるとはおもえません。
 青年はじっと、その歌をきいていました。
 ききながら考えました。

 詩人はたのしい歌をうたう。
 それはたのしい歌で、悪魔がでてこないようにしているのにちがいない。
 でもぼくはうたをうたいつづけることはできないだろうな。

 せいねんはたのしい歌をききながら、たちさりました。








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